本シアターは,CPDプログラム(2単位)です。会員証でCPDポイントの自動登録が可能ですのでご参加の際にご持参ください。
土木学会第69回イブニングシアター
「記憶に残る土木の映画人-堤哲朗監督特集-」
今回のイブニングシアターは「記憶に残る土木の映画人-堤哲朗監督特集-」と題して、技術映像を生涯撮り続けた堤哲朗監督の作品をお送りします。
堤さんが手がけた作品は50数本に及ぶと言われますが、そのなかから、堤さんが大成建設の映像の中でも最も優れた作品と述べている「地熱にいどむ」、堤さんが監督として非常な苦心の末に仕上げた「開発 大津岐ダム建設工事」、晩年に携わった「第2東名 富士川橋」の3本を上映することといたしました。
堤さんにゆかりの深い解説者の方のお話も予定しています。
ぜひご参加ください。
- 日時:平成24年12月5日(水) 開場18時 開演18時半(約2時間を予定)
- 場所:四谷・土木学会 講堂 地図 ポスター
- 対象:一般、会員
- 上映会は終了いたしました。
- プログラム
【映像上映】
- 【解説】
2名の方(各10分~15分)を予定
|
|
1.地熱に挑む 新黒部第3発電所建設工事のうち導水路工事記録
制作 1963年
上映時間 23分
企画 大成建設
制作 日本映画新社
概要
関西電力新黒部第3発電所(富山県宇奈月)における大成建設の工事記録。同社の担当工区は日本有数の高熱温泉地帯にあたり、摂氏140度を超える岩盤と吹き出す熱湯に立ち向かう難工事となった。水をかぶるドリルマン、息をのむ耐高熱火薬の装填。汗みどろで貫通させた人と機械の苦闘の記録である。
「大成建設の数百本に及ぶこれまでの映画の、ナンバーワンと言える作品です」(堤監督コメント)
|
2.開発
制作 1969年
上映時間 15分
監修 大成建設
制作 日本映画新社
概要
アスファルト遮水式ロックフィルダムである大津岐ダムの技術の解説映像。従来のロックフィルダムは粘土質やコンクリートのコアを設けて遮水を行ったが、貯水側斜面に頑丈なアスファルト遮水壁を設ける新技術が登場した。独特の機械により良質のアスファルトの層を重ねて極めて平滑な遮水面を造っている。
「大津岐のアスファルト遮水は日本では先駆け。この当時は一作ごとに新しい技術が採用され、その変化が忠実に反映されているので、映画をたどるだけでも技術の変遷が読み取れます」(堤監督コメント)
|
3.次世代のアーチをかける 第2東名富士川橋
制作 2005年
上映時間 20分
監修 大成建設
制作 日映企画
概要
現在建設中の第二東名高速道路の一部で、静岡県の富士川に架けられた富士川橋の建設記録である。この橋は、国内最大スパン(265m)の鋼・コンクリート複合アーチ橋で、その雄大な構成美とともに施工方法にも大きな特色がある。富士川と言う国内屈指の急流河川の屈曲部に位置するため、アーチ形式を採用したが、環境を損なわず周囲の風景に溶け込んだデザインは素晴らしい。高度な建設技術を駆使した鋼・コンクリート複合アーチ橋の施工を、アニメーションを駆使してコンパクトに紹介しており、学生・一般社会人にも容易に理解できると思われる。地域住民との交流のシーンもあり、地に足の着いた建設工事と言う印象を抱かせてくれた。
|
【 堤哲朗(つつみてつお)監督プロフィール】
1932(昭和7)年名古屋市生まれ。関西学院大学法学部、日本大学芸術学部卒。
大成建設入社・広報部勤務、主にPR映画の企画・制作管理に携わる。その間自ら建築土木関係の記録・技術紹介映画を制作。
後、日本映画新社を経て、フリー記録映画監督。日本記録映画作家協会員、1989年~2004年(社)土木学会視聴覚教育委員会(現土木技術映像委員会)委員。
脚本・監督作品は約50本。2004年6月逝去、享年71歳。
主な作品に
- 木組・銅葺・漆喰壁 愛染院本堂建立記録(1981年/自主制作):文部省特選、科学技術長官賞、教育映画コンクール優秀賞、優秀映画鑑賞会推薦、キネマ旬報ベストテン第5位
- 木組の技 満萬寺本堂建立(1985年/桜映画社):文部省選定、教育映画コンクール優秀賞、日本産業映画祭部門賞、キネマ旬報ベストテン第8位
- 栄光の疾駆 BMWジャパン本社ビルの計画(1990年/日本映画新社):日本産業映画ビデオ祭経団連会長賞、日本産業文化映像祭入選
- 夢をつないで PC斜張橋の計画(1992年/日本映画新社):日本産業映画ビデオ祭通産大臣賞、土木学会選定
- よみがえれ明治の威風 旧法務省本館保存改修(1995年/日本映画新社):日本産業映画ビデオ祭経団連会長賞、日本産業文化映像祭部門1位入賞、優秀映画監督会推薦、テピアビデオコンクール最優秀賞、他多数。
|
大成建設・広報部時代の堤哲朗氏(提供:今泉信二氏)
(「堤哲朗監督を偲び」中嶋康勝(日映企画),映像文化製作者連盟 会報,2004・秋号より転載)
|