★【お知らせ】 土木技術映像委員会編『土木映画の百年-土木技術映像100特選ガイド』、絶賛発売中★
土木技術映像委員会では、土木学会創立百周年記念出版事業の一環として、『土木映画の百年 土木技術映像100特選ガイド』を発刊いたします。
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本書は土木映画がいつの時代からはじまり、また時代とともにどのように発展してきたかをたどる第1部「土木映画の変遷史」と、これまでにイブニングシアターで上映された作品の中から100本を選んで、1作品1ページで紹介する第2部「土木技術映像100特選ガイド」から構成されます。これまでに映画に関する書籍は多数出版されていますが、土木映画に関する書籍では類を見ない初めての試みとなります。
第2部の100特選の作品ガイドでは、これまでイブニングシアターに参加された皆様から寄せられたアンケートを精選して、代表的なご意見も紹介しています。帯のイラストと文は、イブニングシアター常連の漫画家寺島令子さんにお願いして、素敵な仕上がりになっています。
ぜひお手にとってご確認の上、ご購入を賜れば幸いです。
なお、100特選のイメージ画像は、主として学会誌や学会発行のものから転載していますが、一部はパッケージ写真やタイトルカットなどを使用しています。連絡の着くところには確認していますが、宛先不明などで連絡がつかないところも数機関ありました。ここにご報告いたしますので、該当するものがあれば、事務局あて連絡ください。
表紙イメージ | 目次 |
はじめに 3 委員会構成 6 凡例 10 第I部 歴史編 11 1. 戦前期 11 1.1 土木映画の黎明期(大正~昭和初年代) 12 1.2 昭和10 年代〜土木学会文化映画委員会活動を中心に 16 2. 戦後復興期 21 2.1 昭和20 年代(1945〜1954) 22 2.2 昭和30 年代(1955〜1964) 29 3. 高度成長期 35 3.1 昭和40 年代(1965〜1974) 36 3.2 昭和50 年代から昭和の終わりまで (1975〜1988) 41 4.爛熟期~低成長期 47 4.1 平成初年代(1989〜1998) 48 4.2 平成10 年代から現在へ(1998〜) 54 第II部 土木技術映像100 特選ガイド 59 編集後記 |
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第II部100特選ガイド目次(PDF) |
はじめに
▼土木映画=「土木がテーマの劇場映画」+「土木技術映像」
皆さんは土木映画を御存知でしょうか? 土木を題材にした劇場映画*は、『黒部の太陽』(黒部ダム)や『海峡』(青函トンネル)をはじめ、最近では『ホワイトアウト』(奥只見-黒部ダム)や『ゴールデンスランバー』(仙台市レンガ下水道)などがあります。そう言われるとご覧になったという方も多いでしょう。では、土木技術を記録したドキュメンタリー映像=土木技術映像*はどうでしょう。最近では2013 年3 月に「タモリ倶楽部」で「土木学会映画コンクール50 周年記念-東京ファンタスティック土木映画祭」を特集して、『富士山を測る』(測量)、『青函トンネル』(工事記録)、『本四架橋』(ケーソン基礎)、『街の一体化と安全のために』(目黒線地下化)、『パッテンライ!!』(アニメ・人物伝)の5 作品が紹介されました。また、東京ローカルですが『勝鬨橋』の戦前映像が発掘され、NHKややじうまテレビ8(テレビ朝日)で話題になっています。これらは「土木技術映像」と言って、「土木技術」の映像記録なのです。
*この両者を合わせて、「土木映画」と言ったりしますので、ここでは、土木映画=「土木がテーマの劇場映画」+「土木技術映像」
と公式を作っておきましょう。
▼土木技術とは
土木技術を対象とする学問に「土木工学」があります。土木技術の範囲は広く深いため(社会インフラに相当するものは、建築を除き全てが土木です)、それを対象とする土木工学は、工学の分野でも幅広い領域にわたる学問であり、そのため総合工学とも言われます。一般の皆様にはなじみが薄いかもしれませんが、英語では、Civil Engineering といい、市民工学と直訳できます。市民のために役立つ公共性の高い事業(すなわち防災・交通・情報ネットワークなどのソフト分野から、道路・トンネル・鉄道・河川・港湾・橋梁などの各種構造物のハード分野まで)を計画、整備し、維持管理していくことが土木事業であり、それを支えるのが土木技術です。これら土木事業や土木技術に対して研究・分析・評価・提言などを行なう学問が土木工学ということになります。
▼土木技術映像とは
土木事業は、工事の過程では一般の方々はなかなか立ち入ることができません。また、完成後も、皆様の目に触れない部分が多く、いわゆる単品生産で長期かつ大規模なものも多々あります。とりわけ大規模プロジェクトは、興味や関心があっても、その全体像や土木技術などを実際に見て把握するのは容易ではありません。それを見えるようにしたものが土木技術映像です。
土木技術を記録したドキュメンタリーとしての映像作品は、工事記録や災害記録、土木にかかわる人物や事業の歴史などを中心につくられています。実写とアニメーションを組み合わせて視覚的に分かりやすく、かつ短時間にまとめ映像化されたものもあります。映像作品は、どれも制作に時間と費用がかけられ、高密度で重要な情報があるにもかかわらず、一般的には見る機会が少なく、その作品の存在すら知られていないのが現状のようです。
産業映画(ドキュメンタリー、短編映像などとも呼ばれる)として作成された本数は、戦前を加えると数万本、土木分野に限っても1 万本に及ぶといわれます。これらは時代や環境の推移により、当初の映像制作の意図を超えて、資料的価値や教育的価値など多様な価値を生み出していきます。
▼土木技術映像委員会の活動
本書を担当する土木学会土木技術映像委員会は、「土木技術者の啓発ならびに土木技術の普及を効果的に行うため、土木技術に関する映像について研究し、それを効果的に活用することにより、土木技術の継承および共有化を推進すること」を目的として活動しています。
当委員会では、さまざまな組織で制作された映像作品を調査・収集・整理し、多角的な評価を行なっています。多くの人々が容易に触れることのできる環境を整備し、あらゆる機会を通じて公開・発信する場を設ける活動を続けています。
具体的には、土木技術映像作品の一般公開(土木学会イブニングシアター)、土木学会選定作品制度の応募作品審査、映像データベースの整備、映像作品の収集・提供、映像作品の多様な価値の活用研究、映画コンクールの支援、東日本大震災映像アーカイブプロジェクトなどの活動がそれにあたります。
映像作品の一般公開の活動として、2001 年からスタートした一般公開の定例映画会「土木学会イブニングシアター」は、2 カ月に1度のペースで開催されており、現在まで80 回に及んでいます。市民ホールなど大型の上映施設を利用した一般公開特別上映会や土木学会全国大会での上映会なども企画・実施しており、これまでの延べ動員数はおよそ1万3千人に達しています。参加者にはアンケートのご協力をいただき、集計・分析をして行事の企画運営に役立てています。
また、土木学会の土木技術映像選定制度(土木技術映像委員会所管)では、土木技術映像を、分野(河川、道路、橋梁、ダム、トンネル等)、対象者(土木技術者・土木関係者、土木系学生、小・中学生、一般社会人)及び専門性の度合い(工事記録・技術研究紹介等専門性の高いものから、土木一般・啓発・教育など一般的な内容のものまで)などの切り口で分類して評価し、優れた土木技術映像を顕彰し広く公開する事業を行なっています。1970 年以来これまでの選定応募数はおよそ1300 件、そのうち550 件ほどが土木学会選定映像に選出されています。これらの中で特に優れた映像は土木学会映画コンクールに推選されます。当委員会では映画コンクールの審査・運営の支援も行なっています。
▼『土木映画の百年』
本書は、土木技術映像委員会のさまざまな活動で得られた情報をもとに、土木映画=土木技術映像に特化した作品を紹介する、他に類をみない「土木映画のガイドブック」です。
第I部ではこれまでの発掘調査活動などにもとづき、土木映画=土木技術映像の歴史を時代の流れとともに辿っています。
第II部ではイブニングシアターで上映した作品の中から、土木学会百周年にちなんで選定映像100 作品を厳選し紹介しています。
紹介者は全て当委員会に在籍し、土木のさまざまな分野で活躍しており、土木技術映像選定審査や土木学会映画コンクールの審査などで、土木学会の中でもとりわけ土木映画を数多く見てきたベテランの委員です。第II部では担当委員のおすすめ度(五つ星が最大)の項目がありますが、これはベテランの各委員が自身の選択眼によって評価をしているものです。もちろん選りすぐりの100 本ですが、それに加えて担当者の個性が表れています。
土木学会百周年出版事業のひとつでもある本書が、初めての「土木映画のガイドブック」として、土木の専門家、土木ファン、映画ファンはもとより、教育関係者や一般の方々に大いに利用していただき、「土木映画・土木技術映像のバイブル本」となれば幸いです。
2014 年8 月1 日
公益社団法人土木学会 土木技術映像委員会
委員長 大野春雄
【編集後記】
本書『土木映画の百年』の編集にあたった土木技術映像委員会では、土木技術映像を一般の方々に発信する「土木学会イブニングシアター」を2001 年から開催してきました。おかげさまで最近では満員御礼が出る程で、毎回楽しみに来ていただくお客様も多くいらっしゃいます。
あまり皆様に知られていないことですが、当委員会はボランティアで運営していることから、以前は操作ミスなどによる不具合も多々あり、アンケート回答ではお叱りの言葉もいただきました。しかし、最近では運営がスムースになったせいか、上映作品の内容に踏み込んだ、建設的な回答も増えてまいりました。この意見をなんとか作品評価に生かせないかとの委員会での議論が発端となり、土木学会100 周年を機に、出版が決まりました。
第Ⅰ部では、「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があるように、時代背景を記載することにより、この本を手に取っていただいた皆様の思い出がよみがえり、またその時代の土木映画の存在を知っていただければ幸いです。第Ⅱ部では特選された100 作品に委員執筆担当者のコメントと共に代表的な( 肯定・否定両者の意見を入れた) アンケート回答を加えて、1作品1 ページで概要を知ることのできるガイドブックを目指しました。
福田耕治法律事務所所属の高野良子弁護士には、著作権に関するセミナーを2回ほど開催していただき、適切なご教示をいただきました。
今回の出版に当たり、編集の素人であるわれわれに、様々な角度からアドバイスをいただき、編集・出版に立ちあがってくれた言視舎のメンバー、とりわけ社主の杉山尚次氏には大変お世話になりました。漫画家で土木学会イブニングシアター常連の寺島令子さまにはステキなイラストと帯文をお寄せいただきました。その他にも、たくさんの方々にご尽力いただきました。ここで重ねて感謝致します。
(公社)土木学会土木技術映像委員会
幹事長 桝山 清人