論説委員 田﨑 忠行 株式会社長大
社会資本整備の長期計画に数値が書き込まれなくなって久しい。長期計画があるから、不必要な社会資本整備が実施される、といったおよそ的外れな議論がまかり通っている。欧米諸国の道路整備計画のなかには、投資規模のみではなく、個々具体的な事業についても整備見通しが記述されているものが見られる。このことによって道路利用者や地域住民は、整備見通しを時間軸を含めて了解することが出来るし、納税や料金による負担との関係においてサービス水準を判断することが可能になる。社会資本整備の長期計画は、時間軸も含めた整備の見通しと、これに要する国民負担について政府と国民の間に結ばれる契約である。 (2014年1月版) 第80回論説(2) 社会資本整備の長期計画は国民との契約である
論説委員 高野 伸栄 北海道大学
建設業は、今まで以上に大きな期待が寄せられている。しかし、将来へ向けたビジョンを描ききれず、若者を迎え入れられない状況にある。これらに立ち向かうため、まずは関係するすべての人々がそれぞれの場で、将来のあるべき姿についての思いを表し、互いにぶつけ合うことが必要であると考える。 (2013年12月版) 第79回論説(1) 【シリーズ】「50年後の国土への戦略」建設業界の将来に向けての議論を始めよう
論説委員 野崎 秀則 株式会社オリエンタルコンサルタンツ
東日本大震災の復興まちづくりでは、合意形成のプロセスが重要な課題。合意形成の意義は、技術的課題を解決し、関係者の思いの最適解を導くこと。地域力を高め、今後のまちづくりに活かすこと。行政と住民の関係、住民相互の関係を築くことが挙げられる。今後、土木技術者の合意形成に向けた力量が問われていると思う。 (2013年12月版) 第79回論説(2) 震災復興における合意形成の意義
論説委員 岡田 憲夫 関西学院大学
21世紀前半が終わるまでの日本列島は地震・津波・火山災害等の極端事象のリスクが高まる様相である。さらに気候変動にともなう広域的な集中豪雨や地盤災害などの極端リスクも増大することが懸念される。そのような中で、我が国の国土やまちづくりは、「極端災害リスクの重し」と「減災バネ」を活かした品格のある国土とまちづくりを目指すべきであることを提言する。 (2013年11月版) 第78回論説(1) 【シリーズ】「50年後の国土への戦略」50年後の日本- 減災をバネに律動的な成長と進化を目指す「くに・マチ」づくり
論説委員 藤野 陽三 東京大学
土木学会は2014年11月に創立100周年を迎える。日本工学会からの流れをくむ土木学会は、135年の歴史を持つ日本での最も古い工学系の学会ということができる。両方の会長を歴任した古市公威は、土木学会長就任演説において、土木学会会員が細分化した専門家になることを危惧し、会員にあらゆる工学領域を学び、それを活用し、実務に生かすことを強く訴えている。この土木の本質は今の我々の置かれている状況に立ち向かう姿勢としても全くかなっており、土木の不変性を感じさせる。 (2013年11月版) 第78回論説(2) 土木学会の100周年にあたって
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