
土木の日をきっかけに、素敵な土木の風景を
今日は何の日? ラジオでは毎朝、何年の今日はこんなことがありました、と伝えてくれます。そういう出来事としての何かの日もあれば、語呂合わせで定めた日もあります。11月18日は土木の日です。漢字の土木を分解したら11と18になるからです。皆さんもうご存じですよね。重ねて土木学会の前身である工学会(現在の日本工学会)の設立記念日でもあります。土木の日の制定は1987年にさかのぼり、もう37年の歴史があります。私の土木学会入会は1989年なのですが、その頃はもちろん、かなり長い間、土木の日に何かしたという記憶がありませんでした。しかし土木のことを皆さんに知ってもらおうという活動が活発となるとともに、土木の日は年中行事として名を馳せる様になってきました。土木の日をみんなで盛り上げよう、この日をきっかけに土木のことを考えよう、知ってもらおうという活動が、本当に様々な方によって行われています。嬉しい限りです。
土木学会では11月18日から創立記念日の11月24日までを「くらしと土木の週間」として、本部および支部主催の展示会、見学会、トークなどの行事を各地で実施しています。さらに今年は土木学会創立110周年です。110周年記念事業のテーマは「土木の核とひろがり」です。このテーマのもとで二つの企画に取り組みました。一つは「土木との接点をデザインする」。すでに各地で行われている見学会のなかから、特に市民とのつながりの伝え方に特徴のあるものを「『伝わる土木、伝える土木』見学会」として紹介するとともに、土木学会選奨土木遺産や土木学会デザイン賞に選ばれた施設や空間をGoogle マップに追加して皆さんが情報にアクセスしやすくしています。もう一つの企画は「土木技術者像を描く」。20年後の世の中の大きな変化を見通しながら、産官学の若手が集中的に議論して思い描いた未来の土木の仕事とその担い手像を紹介します。11月19日に東京池袋で開催する記念式典ではこれらの成果も展示、発表します。
「この日」という旗印のもとで多様な土木への想いが各地で姿を現し、普段は意識されない「土木」が風景として皆さんの目に留まると思うと、私もワクワクします。ぜひこれらの行事をきっかけに、あなたの目で素敵な土木の風景を見つけてください。
佐々木 葉
土木学会 第112代会長
(早稲田大学 教授)
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