近年,我が国では,シールドトンネル工事の減少や,団塊の世代を中心とするシールドトンネルに精通したベテラン社員の退職により,日本のシールドトンネル構築技術の維持が危惧されています.一方,中国,アジアをはじめとする軟弱地盤上に大都市を有する国々では,シールドトンネルによる都市部インフラ整備が急増し,シールドトンネル構築技術の習得,発展が進んでいます.したがって,世界のシールドトンネル分野の中で,日本が今までと同様に技術的優位性を確保していくためには,世界最先端と言われる日本のシールドトンネル構築技術を,何らかの方法で若手技術者へ伝承していくことが必要です.
また,トンネルは,他の土木構造物と異なり,自然地盤の中に構築されることから,トンネルの維持管理を重点的に効率的に行うためには,「どのような地盤に,どのような構造物を,どのように造ったか」という情報が必要不可欠ですが,そうしたトンネル完成前の情報は,時間とともに逸散していっているのが現状です.
そこで,平成19年6月から,トンネル工学委員会技術小委員会「シールドトンネルのデータベース構築に関する検討部会」(部会長:杉本光隆(長岡技術科学大学))では,トンネル完成前の技術情報をデータベース化して残し,それを利用する方法を検討してきました.この程,その成果をとりまとめた報告書「シールドトンネルの技術情報のデータベース化に関する検討」を,トンネル工学委員会のHPに掲載させていただくことになりました.さらに,本報告書を基にシールドトンネルデータベースシステム(以後,シールドDBと呼ぶ)を実現するため,平成23年度から,トンネル工学委員会技術小委員会にシールドトンネルデータベース運営部会が設立され,シールドDBの運用が開始される予定です.
つきましては,本報告書をお読みいただき,データベース化の目的や背景,シールドDBの全体像等をご理解いただき,是非とも,シールドDBへご参加いただきたく御願い申し上げます.なお,シールドDBの準備が整いましたら,本HPでお知らせ申し上げます.
■検討部会報告書
シールドトンネルの技術情報のデータベース化に関する検討→PDF形式(両面印刷仕様)
ウイルススキャン証明→PDF形式
平成23年6月
土木学会 トンネル工学委員会 技術小委員会
シールドトンネルのデータベース構築に関する検討部会
「シールドDBとBIM/CIMモデルのデータ連携ガイドライン」のご紹介
トンネル工学委員会シールドトンネルデータベース運営部会では,2011年6月策定の「シールドトンネル技術情報作成マニュアル」(https://committees.jsce.or.jp/tunnel/system/files/6_manual2_0.pdf)に則り築造されたシールドDBに関する登録と利用を推進しています.
一方,2018 年 7 月から2年間,同運営部会の下に設置したシールドDB 連携検討分科会では,国土交通省のBIM/CIM施策に対応すべく,日本建設情報総合センター(JACIC)社会基盤情報標準化委員会シールドトンネルデータ連携標準化検討小委員会と連携し,現実的な3次元モデルの作成方法,および,上記シールドDBと関連付けられた同モデルへの形状・属性情報の作成・蓄積手法を開発し,「シールドトンネル技術情報DBとBIM/CIMモデルのデータ連携ガイドライン」を策定しました.
なお,同ガイドラインは,以下のJACICのURLで公開されておりますので,「シールドトンネル技術情報作成マニュアル」と併せてご参照頂きますようお知らせいたします.
■JACICシールドトンネルデータ連携標準化検討小委員会成果一式
https://www.jacic.or.jp/hyojun/2018shouiinnkai-01.html
令和3年2月
土木学会 トンネル工学委員会 技術小委員会
トンネル工学委員会シールドトンネルデータベース運営部会