国土交通省近畿地方整備局が和歌山県橋本市隅田町垂井に建設した垂井高架橋は、平成14年4月に竣工したが、1年半経過した平成15年10月、上部工にひび割れが発見された。
詳細な調査を行ったところ、上部工には多くのひび割れが発生しており、上部工自体も設計で想定していない変形を生じていた。この橋は、平成18年春に供用が予定されていた京奈和自動車道、橋本道路の一部をなしており、国土交通省近畿地方整備局としては、早急に対応する必要があることから、土木学会に原因の究明、その時点での耐荷性能、補修・補強対策等に関する調査を委託した。
この委託を受けて、土木学会コンクリート委員会では、平成17年4月から「垂井高架橋損傷対策特別委員会」を組織し、学術的な観点から原因の究明、健全度の評価および補修・補強等の対策の検討を行い、平成17年9月に中間報告を公表した。
この中間報告をもとに、近畿地方整備局は日本高圧コンクリート(株)のかし修補工事を承認した。
土木学会コンクリート委員会では、「垂井高架橋の損傷に関する調査特別委員会」を組織し、かし修補工事に対する技術的な検証、審議、指導を行った。
垂井高架橋のかし修補工事は、平成18年10月に開始され、平成19年6月に完了、同年8月より供用が開始された。
近畿地方整備局では、供用後10年間モニタリングを実施することとしており、土木学会技術推進機構へモニタリング計測および評価の協力を要請した。これを受けて土木学会技術推進機構では「垂井高架橋モニタリング評価委員会」を組織し、平成19年度から活動することとなった。
経 緯
垂井高架橋モニタリング評価委員会