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私は地方大学の教員をしております。先生の記事をたいへん興味深く読ませていただきました。 折角ですので、以下の2つの視点でコメントさせていただきます。
(1)土木分野の教育に対する貢献
初等教育との関わりについては、先生ご指摘のように点と点、単発的なつながりに留まる例が多いように思います。 同様に、中等教育についても、工学分野と教育分野には相当な距離感があります。 でも現状を考えると、これは個人的な努力ではどうしようもない、深い問題を抱えていると思います。 将来的には教育委員会等と学会との協力関係が不可欠だと思います。でも、現状ではとても難しそうです。 科学技術立国を謳うわが国で、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
大きな理由として、工学分野で教育を受けた教師が圧倒的に少ないことが影響していると思います。 先生は非理系でひとくくりにされていますが、理学系出身者・工学系出身者で社会に対するアプローチの違いも決して無視できないと思います。尖鋭化する科学技術と日常生活をつなぐ伝道者として、工学系出身の先生は貴重な存在だと思います。最近、各方面の努力により状況は改善されつつありますが、それでも工学部出身者が取得できる教員免許は非常に限られています。大まかな状況については、文部科学省のHPから確認できます。
これは、大学自身の運営の問題でもあります。理学系出身者のロールモデルとして、教員免許を取得して教師になるというコースはほぼ確立していますが、工学系ではそんなものはまずありません。では、簡単に工学系学生に門戸が開くかと言えば、なかなか難しいのが現状です。学生の教育に対する負担や就職先を確保する観点から学内での調整も必要となりますし、工学系教員自身が初等・中等教育へ貢献することの重要性を理解していない場合も多いと思います。ですから、大学自身の社会貢献という観点に立って、必要に応じた改善が不可欠です。結局のところ、どんな人材を社会に供給するのか、というポリシーに関わる問題に行きつきます。
先生の論説が契機となって、状況が少しでも良い方向に改善されればと思います。
(2)土木分野に有意な人材を取り込むための方策
学会支部の出前授業の仕事をお手伝いしていて感じたことです。 土木分野の仕事は最低限の数学と力学を知らないとお話にならないので理数系と言えますが、大抵の場合は嘘をつかない程度に正確な数学・力学であれば十分なように思います。むしろ、初等教育との関わりで言えば、社会科との関連性が非常に高いです。ですから、社会科の教材を通して、土木分野に関心を持つ生徒を増やすことも選択肢としてありそうです。総合学習等では、社会科として教材を提供しつつ、その背景には算数や理科が必要なことを示せればよいのかもしれません。子どもは素直なので、文系・理系などを考えていないと思います。文系・理系という大人の身勝手な2元論的な視点で物を捉えること自体が、子どもに害を与えるのかもしれません。 また、社会科から入る方が、先生たちにとっても苦手意識が少なくて良いのかもしれません。
先生の論説を拝読して、私なりに色々とヒントをいただき、考えを新たにする機会を得ました。 思うままにコメントさせていただきました。ありがとうございました。
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Re: 第49回論説(1) 理数科離れに対する土木分野からの視点
投稿者:匿名ユーザ 投稿日時:水, 2011-07-06 09:21私は地方大学の教員をしております。先生の記事をたいへん興味深く読ませていただきました。
折角ですので、以下の2つの視点でコメントさせていただきます。
(1)土木分野の教育に対する貢献
初等教育との関わりについては、先生ご指摘のように点と点、単発的なつながりに留まる例が多いように思います。
同様に、中等教育についても、工学分野と教育分野には相当な距離感があります。
でも現状を考えると、これは個人的な努力ではどうしようもない、深い問題を抱えていると思います。
将来的には教育委員会等と学会との協力関係が不可欠だと思います。でも、現状ではとても難しそうです。
科学技術立国を謳うわが国で、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
大きな理由として、工学分野で教育を受けた教師が圧倒的に少ないことが影響していると思います。
先生は非理系でひとくくりにされていますが、理学系出身者・工学系出身者で社会に対するアプローチの違いも決して無視できないと思います。尖鋭化する科学技術と日常生活をつなぐ伝道者として、工学系出身の先生は貴重な存在だと思います。最近、各方面の努力により状況は改善されつつありますが、それでも工学部出身者が取得できる教員免許は非常に限られています。大まかな状況については、文部科学省のHPから確認できます。
これは、大学自身の運営の問題でもあります。理学系出身者のロールモデルとして、教員免許を取得して教師になるというコースはほぼ確立していますが、工学系ではそんなものはまずありません。では、簡単に工学系学生に門戸が開くかと言えば、なかなか難しいのが現状です。学生の教育に対する負担や就職先を確保する観点から学内での調整も必要となりますし、工学系教員自身が初等・中等教育へ貢献することの重要性を理解していない場合も多いと思います。ですから、大学自身の社会貢献という観点に立って、必要に応じた改善が不可欠です。結局のところ、どんな人材を社会に供給するのか、というポリシーに関わる問題に行きつきます。
先生の論説が契機となって、状況が少しでも良い方向に改善されればと思います。
(2)土木分野に有意な人材を取り込むための方策
学会支部の出前授業の仕事をお手伝いしていて感じたことです。
土木分野の仕事は最低限の数学と力学を知らないとお話にならないので理数系と言えますが、大抵の場合は嘘をつかない程度に正確な数学・力学であれば十分なように思います。むしろ、初等教育との関わりで言えば、社会科との関連性が非常に高いです。ですから、社会科の教材を通して、土木分野に関心を持つ生徒を増やすことも選択肢としてありそうです。総合学習等では、社会科として教材を提供しつつ、その背景には算数や理科が必要なことを示せればよいのかもしれません。子どもは素直なので、文系・理系などを考えていないと思います。文系・理系という大人の身勝手な2元論的な視点で物を捉えること自体が、子どもに害を与えるのかもしれません。
また、社会科から入る方が、先生たちにとっても苦手意識が少なくて良いのかもしれません。
先生の論説を拝読して、私なりに色々とヒントをいただき、考えを新たにする機会を得ました。
思うままにコメントさせていただきました。ありがとうございました。