「国際センターだより」では、土木学会の国際活動の一端を紹介しています。国際センターが毎月発行している「国際センター通信」と合わせて是非ご一読ください。
■ユニオン吊橋 記念銘板 除幕式- Roland A. Paxton教授 除幕式挨拶-
国際歴史的土木ランドマーク(IHCEL)の認定を受けた現存する世界最古の道路吊橋であるユニオン吊橋記念銘板の除幕式が2023年7月6日(木)に開催され、日英米3カ国の土木学会から関係者らが出席した。本稿で、長きにわたりユニオン吊橋の保全活動に尽力いただいたRoland A. Paxton教授の除幕式での挨拶を紹介します。
◆UCBトークにようこそ(2023年7月6日、パクストンハウスにて)
ようこそ皆様、お集まりいただきありがとうございます。私のことをご存じない方のために自己紹介いたします。ローランド・パクストンと申します。フレンズ・オブ・ユニオン・チェーン・ブリッジの後援者の1人です。今日はこの橋の歴史において、そしてツイード川両岸のコミュニティにとって、非常に特別な日です。
ご記憶の方もあるかと思いますが、私は9年前の2014年にパクストンハウスで開かれたフレンズの最初の会合で、この橋の保全の経緯についてお話ししました。また、この橋の国際的な認知度を高め、将来にわたってこの橋を保全し、推進することを誓いました。当時、橋は老朽化が進んでおり、見通しは非常に不透明でした。そして時は流れ、本日を迎えたわけです。多くの人々の努力と挫折、そして成功を経て、美しい橋が修復されました!しかも、橋の構造のかなりの部分が保全されています。そして、今なお、世界最古の車両通行可能な吊り橋として記録を更新しているのです。
このタイプの橋梁設計が、世界最長のスパンを持つ橋の建設を可能にしてきました。1820年のユニオン吊橋の133mから、1883年には0.5kmのブルックリン橋、1998年には2kmの明石海峡大橋が開通し、現在計画中のイタリアのメッシーナ海峡大橋にいたっては、ユニオン吊橋の25倍にあたる3.3kmという驚異的な長さとなります。ユニオン吊橋についてさらに詳しく知りたければ、フレンズが発行の『Spanning the Centuries』をご覧ください。
今朝、この橋が国際歴史的土木ランドマークとして正式に認定される場に立ち会えたのは素晴らしいことでした。また、銘板の除幕にも立ち会いました。除幕式には、米日英の土木学会、構造工学協会という世界をリードする工学会の代表が参加しました。これらの学会を合わせると、世界中に34万人もの会員がいらっしゃいます。1980年代以降、この国際的な栄誉はおよそ50の象徴的な建造物にのみ授与されてきました。フォース橋、ケベック橋、メナイ吊橋、クライゲラヒー橋、ビクトリア橋(ザンベシ)、シドニー・ハーバー・ブリッジ、エディストン灯台、エッフェル塔、クライドバンクのタイタンクレーン、ブルネルのテムズトンネルなどです。そして今、ここにユニオン吊橋が加わりました。
本日午後には、4つ講演を予定しており、さらに祝賀気分が高まるでしょう。ヘリオット・ワット大学における私の同僚であり、英国土木学会(ICE)の元会長であるポール・ジョウィット教授に、参加いただいている学会会長と講演者の皆様を紹介いただきます。ご清聴ありがとうございました。教授、よろしくお願いいたします。
Roland A. Paxton教授
国際センターだよりバックナンバー
添付 | サイズ |
---|---|
Roland A. Paxton教授.jpg | 116.32 KB |