公益社団法人土木学会(会長 谷口 博昭)では、2014年10月に減災アセスメント小委員会を発足させ、津波防災・減災について、対象津波の設定のみならず、まちづくりの観点も踏まえて、「豊かで安全なまちづくり」の具体的な手順を検討してきました。今般、その成果として「津波に対する海岸保全施設整備計画のための技術ガイドライン」が完成し、公開の運びとなりましたのでお知らせ致します。
本ガイドラインは、以下のウェブサイトに掲載しております。
【津波に対する海岸保全施設整備計画のための技術ガイドライン】
https://coastal.jp/files/202106Technical_Guideline_for_Planning_of_Coastal_Protection_Facilities_against_Tsunami.pdf
(クリックをするとPDFファイルが開きます)
【掲載元:土木学会 減災アセスメント小委員会Webサイト】
https://coastal.jp/about/subcommittee/gensai/
東日本大震災以降、比較的発生頻度が高い津波(L1津波)に対しては、ハード対策を基本として被害の防止に取り組み、発生頻度は低いものの甚大な被害をもたらす最大クラスの津波(L2津波)に対しては、人命を守るという考え方(「二段階の外力レベルの設定」)に基づき、施設整備、土地利用、避難を組み合わせた多重防御が図られてきました(「津波防災地域づくり」)。また、減災効果を目指す「粘り強い堤防」の導入やL1津波に対する堤防の段階的整備も行われています。
このような複合的な防災対策の考え方を社会実装するためには、適切なリスク評価のもと多重防御の方策を社会的公平性や経済的効率性等の観点から総合的に比較・評価する手法を開発する必要があります。本ガイドラインは、この課題に対して、土木学会海岸工学委員会と土木計画学研究委員会とが協働し、関係各省庁からも意見をいただきつつ、最新の科学的知見をとりまとめたものであり、客観的・合理的な観点からの評価情報として地域における合意形成にも活用できるものです。
本ガイドラインは3編からなり、第1編では、海岸防災・減災対策決定プロセスの基本的な考え方と整備計画案の設定の手順を、第2編では、海岸防災・減災対策決定プロセスで必要となる確率的津波水位の設定、津波シミュレーション及び被害額の算定手法を示しました。第3編では、第2編の方法論に従って実施したケーススタディを紹介しています。
現在、「津波防災地域づくり」に基づいた対策を検討している自治体のみならず、今後検討する予定のある自治体、そして、その検討を支援される関係各省庁の関係する部局、建設コンサルタントに是非参考にしていただきたい資料です。
【本件に関する問合せ先】
公益社団法人 土木学会 研究事業課 小澤 一輝
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目外濠公園内
TEL:03-3355-3559 / FAX:03-5379-0125 / E-mail: k-ozawa@jsce.or.jp
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2021年7月21日ニュースリリース | 972.05 KB |