コロナにより半強制的な形で広まったリモートワークや時差出勤等の勤務スタイルの変化に加え、2024年度問題を見据えた労働時間削減のための施策などにより「働き方改革」が進み「働きやすさ」は向上してきた一方で、働きたくても働けない・能力向上の機会の減少等により特に若い世代を中心に「働きがい」が低下してきていると言われている。
働きがい、つまり仕事に対するモチベーションや満足度の低下は、生産性の低下や離職率の増加につながり、組織の体力低下を引き起こす。
近年、ウェルビーイング経営というものが注目され始め(ウェルビーイング=個人が肉体的、精神的、社会的に満たされた状態であること)、組織が従業員のウェルビーイング向上に取り組むことで、従業員の組織に対するエンゲージメントや仕事に感じる働きがいが向上することが報告がされている。
これは組織の生産性の向上や離職率の低下のみならず、有能な人材の確保や企業価値の向上にも密接に関わってくる。
日本のインフラ整備に携わる者のウェルビーイングを引き上げることが中長期的に日本の国土を豊かにしていくと考えられることから、本小委員会ではウェルビーイングを指標とした土木業界のマネジメントについて調査・研究する。
土木分野には、産官学や受発注者といった組織の違い、研究や製作、企画、設計、施工、維持管理といった役割の違いにより非常に多様な立場の人々が関わることになる。それぞれが感じるウェルビーイングの度合いとともに、それを向上させるために組織としてすでに取り組まれている事例等を、他業界の事例とあわせて調査・研究する。さらに、現在用いられているウェルビーイング測定の指標を比較・分析し、土木業界に適したウェルビーイング指標を検討する。