【事例キーワード】
①技術のチカラ、 ②デザインのチカラ、 ③自然のチカラ、 ④コミュニティのチカラ、 ⑤記憶のチカラ
みなさん、こんにちは。WGリーダーの岡田智秀(日本大学理工学部)です。
今回で3事例目のご案内(予告)になりますが、これまでの記事をお楽しみいただけましたら幸いです。
さて、今回のテーマは、世界遺産富士山の構成資産となった「三保松原」における“富士山の眺望保全”と“海岸防災”という、一般的には対立しがちな両面を議論と技術によって両立させた日本初のプロジェクトになります。
その背景として、日本三大松原としても知られる「三保松原」ですが、構成資産に登録されるにあたり、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議) より、「現在の三保松原からの富士山への眺望は美しくない」と評価され、その要因である消波堤(いわゆる波消しブロック)の撤去が勧告されたことに端を発します。しかし、ご存知のように、消波堤は高波等から背後の市街地を守る海岸防災施設。当地域において欠くことのできない存在です。
そこで、富士山への眺望保全と海岸防災を両立させる日本初の海岸構造物を開発することになりました。手掛かりとなる前例がない中で、行政と専門家らによって“まずはやってみよう”を合言葉に10年超にわたり議論と実践を重ねてきたもので、実は私もその一員として参画してきました。日本の国土を縁取る海岸でいま何が起こっているのか。その最先端の取り組みをぜひご堪能いただきたいと思います!
今回のライターは、ジャーナリズムの世界に入る原点に瀬戸大橋の橋脚の立つ島々を取材した経験があるという茂木俊輔さんです。どうぞご期待下さい!
【before】消波堤の景観改善が勧告された当時の様子/【after】新型海岸構造物と先端撤去後の消波堤[写真提供:静岡県]